デザインにおける「出会い」にこだわった年

Spectrum Tokyoプロデューサーの三瓶です。

年内最後の記事は我々の2023年の活動を振り返りながら締めくくっていきます。年始めに定めたテーマに対して、チームはどんなアクションをし、どんな気づきを得たのかをまとめてみます。

Spectrum Tokyoは去年7月から活動を始めたので今年の夏には一周年を迎え、今はもう少しで1.5歳といったところですが、我々なりに色々と拡大できた一年となりました。

復習:Spectrum Tokyoって結局何なの

最近は12月にやっている年に一度のデザインフェスティバルで知ってもらうことが多いのですが、我々はSpecrum Tokyoをデザインコミュニティプラットフォームと呼んでいます。デザインを学びたい・より掘り下げたい人のためのコンテンツを発信したり、対話できる場を創出すべく、大きくは以下のような3つの活動をしています。

  • マガジン → デザインのさまざまな記事が読める
  • ミートアップ → デザインを実践する方々とカジュアルに出会える
  • フェス → さまざまな領域の実践者が集う年に一度のお祭り

これ以外にも細々と色々トライアルしているのですが、大枠で言えばデザインの多様性を感じたり、国内外のボーダーを取り払えるようなコンテンツや場づくりがよりよいデザインにつながると考えて活動しています。

今年の活動テーマ

本年の活動におけるテーマは「デザインにおけるたくさんの出会いを創出する」と年初に決めていました。去年から活動してみて、総じてこの業界では2つの出会いが足りてないと感じ、こういったステートメントをチーム内で共有しました。

仲間・同志との出会い

去年の年末、Spectrum Tokyoとしてははじめて大型のオフラインイベントをやってみて、コロナを経たのもあり、リアルで集まることの大事さを痛感しました。いくらオンラインイベントでビュー数を稼ごうが、千人単位で申込みがあろうが(過去にはこういうのもやってました。これはこれで楽しかったのですが)、実際会場に足を運んでくれている100人の価値のほうが何百倍も大事に感じました。

その違いは人との出会いがあるかないかだと思います。オンラインイベントで人と出会わないかと言われたらそんなことはないと思うのですが、とても難しいと思いますし、時間がかかります。人というのはリアルで会うときに知らぬうちに色々な情報を読み取って、人を知っていくのだなと。そうして、気が合う仲間と知り合ったり、逆に肌に合わない人を感じ取ったりしていくのですが、人々がコロナによって引き剥がされたのはこういう体験なんじゃないかと思いました。

そして人との出会いは何よりの学びやモチベーションになる。自分だけの閉じた視野をこじ開けてくれるし、実際教えを請うこともある。人の美談や失敗談は実感と説得力のある知識になるし(真に受けてはダメですが)、同じくらい自分のことを話す機会というのも大事だと思います。自分のスキルやキャリアの現在地がわかるし、自分のことをうまく伝えるのもとても勉強になります。

知識・世界との出会い

デザインは以前に比べてさまざまな場所で語られるようになってきました。ですが、いつの時代もトピックやテーマの偏りやトレンドが生じるものです。我々はコンテンツ屋で、しかも多様性をテーマにした場所ですから、なるべく他では見られないものも陳列して、新しい知識や世界との出会いがあるように意識しました。特にコロナで数年引きこもらざるを得なかった代償は大きかったと感じていて、上とつながるのですが、人々の新しい世界を知ろうとする欲や行動力が低下してしまったのか、話されるトピックがコモディティ化し始めているのか、僕の勝手な印象だとは思うのですが、まるで業界全体が少しネガティブに陥っているような、いじけているような印象をここ数年感じていました。だからこそSpectrum Tokyoとしてはデザインというものに対してのワクワクを感じてほしいなと思ってコンテンツづくりの試行錯誤をしていました。

そうこうしているうちに世の中はリアルに回帰していき、業界はAIで湧き、我々がなさずとも多少活気は戻っていったようにも感じますが、それはそれとして、新しい視点、考え方などにワクワクできるようなコンテンツ作りをしたいという思いは変わらず、年間活動してきました。

(今振り返ると、この2つは今年だけではなく、これからの大きな指針として変わらず有り続けるように思います)

今年やれたこと

クセつよで多様な記事を多く出せた

Spectrum Tokyo Magazine(みなさんが今見ているこれ)ではトータルで52記事配信しました。インタビューではデジタルなデザインがより社会や生活の中でどう活きているのかや、少し変わったターゲットやクラスタに向けたプロダクトなどを意識的にフィーチャーしました。去年編集部で行ったデンマークの取材記事も遅ればせながら出しました。そしていつもとても濃厚な記事を書いてくださるコラムニストたちによるコラム記事。読んでて飽きない、バラエティに富んだ更新ができたのではないかと思います。今年も書いてくれた皆さん、取材に付き合っていただいた皆さんに感謝です。

ミートアップを毎月やってみた

今年はSpectrum Tokyo Meetupというリアルイベントを3月頃からスタートさせ、スピンオフを含めると8回くらい実施し、延べで500以上の参加がありました。さまざまな現場の方がデザインをテーマに5分のライトニングトークをし、交流するというものなのですが、驚いたのは英語縛りというハードル高めな設定にも関わらず初回は70名近く集まったことです。

英語オンリーにした理由は単純に英語を練習できる場所を作りたかったのと、英語縛りにすると客層も少し変わって、他のイベントにはない出会いが創出できるのではないかと思ったからです。実際やってみると英語を勉強したい日本人のローカルの方もくれば、日本で働く外国人の方もくればと、面白いミックスになりました。通常この2つのクラスタは分断されており、交わることは稀だったりするので、特に外国人の方からは日本のローカルのデザイナーなどと話せて面白いというフィードバックを多くもらいました。

また、このミートアップを通して面白い気づきもあって、ある日、英語の回に来ていた参加者が「なんで日本語のミートアップのお知らせを英語のSNSチャンネルでもアップしないんだ、とてもがっかりした」と言っていました。本人はそもそも、日本のローカルのデザイナーが何を考えているのか興味津々で来ているわけで、英語の回よりも母国語で話す回のほうが内容はより濃いに決まっているので、むしろそちらのほうが行きたいとのことでした。日本語を話せる外国人の方はそんなに多くはないので、日本語の回に外人さんを呼ぶというのは僕にはない発想だったのですが、たしかに英語を勉強したい日本人と同じように、外国人の方も日本語を勉強する機会を探しているんだなと、よく考えれば当然のことなのですが、僕にとっては目からウロコでした。

そこから違うイベント名だった日本語と英語のミートアップを統合して、毎月交互に実施し、どちらも日本人・外国人問わず受け入れるスタイルに変えました。まだ試行錯誤ですが、よりインクルーシブにする方向になったのは良いんじゃないかと思ってます。

Instagram開設・リール動画配信開始

僕やチームメンバーは日々魅力的なデザインの実践者と会うことも多いのですが、何度も言いますが、この出会いが我々自身、とても勉強になります。ですが、工数的に会う人全員に記事インタビューしていくわけにも行きませんので、Instagramのリールなどでもっとカジュアルに発信したいなと思い、夏頃ジョインしてくれた新しいメンバーが現在進行系で色々とトライしてくれています。

まだ試行錯誤が続いているのですが、現場で活躍する方々の素顔が見れるようなライトコンテンツとなっているのでぜひうちのInstagram、フォローしてみてください。

深夜ラジオも始めてみた

7月はSpectrum Tokyoの一周年だったのですが、そのときにノリで深夜ラジオをやってみました。こちらは意図としては我々のチームが普段どんなことを考えて運営しているのかを語る場所が欲しくてやってみたのですが、リスナーからお便りを募って読んだりするのが思いの外楽しくて、そこから毎週火曜深夜にほそぼそと配信していました。

ときにはゲストを呼んでみたり、各種活動の裏話をしてみたり、ネタがないときはどうでもいい話をしたりと、割と気ままに続けてみたのですが、意外と聞いてくれる人もいたりして地味に嬉しかったです。

上記の出会いというテーマからするとやや内輪なコンテンツになりがちという反省もあったのですが、どちらかというと動画コンテンツ展開の試行錯誤としてやってみている側面もあったので、そういう意味ではいくつか気づきも有りました。これを経て、来年は少し形を変えてお届けしたいと思っています。

総括

というわけで、今年は多くの方にSpectrum Tokyoを知ってもらい、絡んでもらうことができました。XやLinkedInのフォロワーでいうと2倍以上増えたので、よく頑張りました(自分で言っていくスタイル)。とはいえ、まだ業界の隅っこのちっちゃいコミュニティの規模なので、来年も引き続き頑張っていきます。

関わってくださった皆さま、今年も大変お世話になりました。

この記事を持ちまして、本年の更新納めとさせていただきます。来年も我々なりに業界を盛り上げていけるよう、色々と仕込んでいきますのでよろしくお願いいたします!

皆さまにとって、来年も良い年でありますように。どうか穏やかな正月をお過ごしください。

Spectrum Tokyo

アシスタント募集

ちなみになのですが、やることは増えているのに手が足りていません。どんな人を探しているかというと、ずばり雑用や作業をこなしてくれるアシスタント的な方を探しています。メディアやイベントの運営の補助的なお仕事で、基本リモート&副業でこなせるようなものです。ご興味いただける方はぜひ一度カジュアルにお話できればと思いますので、お問合せフォームからご一報ください

Written By

三瓶 亮

Spectrum Tokyoのプロデューサー/デザイナー/代表。マーケ、ディレクション、デザインとデジタルプロダクトやサービスに幅広く携わりもうすぐ20年。Spectrum Tokyo以前は日本最大級のUXデザインコミュニティ「UX MILK」を立ち上げ、7年ほど運営。90年代のパンクロックとあらゆるゲームが大好き。

Partners

Thanks for supporting Spectrum Tokyo ❤️

fest partner GMO fest partner note,inc.
fest partner Morisawa partners Design Matters

Spectrum Tokyoとの協業、協賛などはお問い合わせまで