Spectrum Tokyo Festival 2026 開催レポート&イベントデザインの裏側
Spectrum Tokyoの三瓶です。2026年2月14日〜15日の2日間に渡って開催した Spectrum Tokyo Festival 2026、今年も盛況のうちに終えることができました。関わっていただいた皆さま、ご来場頂いた皆さま、ありがとうございました。
2022年から毎年12月に開催してきて、今年は開催月を2ヶ月後ろ倒ししたので年号のカウントが若干ズレたのですが4年目の開催となりました。開催月をずらした理由は、自分たち主催の他のイベントとの間隔調整があったのと、年末というのが色々とロジスティクス周りで難しい面があったからです。

4年目ともなると、こなれてきてパターン入ってくるかと思いきや、そんなことはなく、むしろ来られる方の期待値も上がっており、自分たちとしても色々とやりたいことも出てきて、正直思った以上に新しいことを放り込んでしまいました。
まあまあ色々な面でアップデートを図りまして、そのおかげかはわからないですけれども、前年よりもさらに動員数は増え、2日間でのべ500名ほどの方に来ていただきました。Spectrum Tokyoとしては人数の多さよりも対話や笑顔の多さ(測りにくーい!)を重視しているので、この数にはさして意味はないのですが、2日間でいただいた数々の感想の多くが雰囲気の良さや話しやすさに触れてくれて、今年もフェスたらしめるものにできたのかなと思います。

さて、今年もちょいちょい裏話を織り交ぜながら、イベントを振り返りたいと思います。
前提:カンファレンスじゃなくてフェス
初回からずっと言っているのですが、我々のこのイベントはデザインカンファレンスではなく、「フェスティバル」と言っています。来られる方も話される方もビジネスの文脈でのデザインが多いのですが、そういった領域の情報交換をよりカジュアルにしたいですし、特にUXやサービスデザインに携わる方が多い中で、「コミュニケーション」の大切さに気付けるような場所にすべく、たどり着いたコンセプトです。
我々自身も体験のデザイナーとして、どうしたら対話しやすい空気づくりができるかを毎年試行錯誤しています。美味しいご飯や飲み物、いい感じの音楽などの環境づくりもそうですし、登壇と必ずセットにしているAMA(Ask-me-anything)セッションやインタラクティブなスポンサーブースなどもそうです。
フェス感を見直す
そんな中、3年ほどやってきたのですが、今年は少し自分の中で原点回帰が必要かもしれないと思いました。このフェスがSpectrum Tokyoのいろんな活動の中でも(そう、他にも色々やっているんですよ)かなり代表的な活動になっているのですが、「フェス、フェス言っている割に、これ、そんなフェス感なくない?」と次第に不安になってきました。考えていくうちに「あれ…フェスってなんだっけ…」ともなりました。笑
まず最初にやったのは全体におけるフェス感の「見直し」です。
アイデンティティの刷新
2022年〜24年までのロゴは、まだSpectrum Tokyoのブランド自体が浸透していないのもあり、かなりシンプルなものでした。そこからよりフェス感のあるアイデンティティにしようと思い、今の形になりました。

たたきはGeminiと対話しつつイメージを固めていきました。コンセプトとしてはフジロックなどのロックフェスのデザイナー版とよく言うのですが、モチーフとしてはロックの部分よりも「アウトドア・キャンプ感」のほうがしっくりきました。

左のものにインスパイアされつつ、イラレでデザインに落とし込んでいきました。
カラーリングもいつもならSpectrum Tokyoは6色、ビビッドでカラフルなイメージでまとめることが多いのですが、そもそも対象がミドル層〜シニア層の方にしているというのもあり、少し大人な雰囲気を出すために敢えて赤・青・緑の3色縛りにしてみました。

ステージ・レイアウトの刷新
ステージ名や会場レイアウトなどもよりフェス感が出るようにアップデートしました。従来は2ステージ、大きくて海外の方も登壇するステージが「Global Stage」、逆側のもう少し小さい日本語のみのステージが「Local Stage」だったのですが、これも今一度フェス感のある名前はなんだろう…?と悩み、結果、
- 旧Global Stage →「Forest Stage」(緑に囲まれているから)
- 旧Local Stage →「Brick Stage」(レンガの壁があるから)
そして新設のワークショップ専用エリアは
- 「Secret Lab」(秘密基地感があるから)
になりました。そして、同時にそれぞれのステージにテーマカラーを設けました。

会場のレイアウトも大胆に変えました。以前はDMMさんの備え付けのメインスクリーンをずっと使用させていただいていたのですが、今年は大胆にもそこは使わず、大型LEDスクリーンを別に導入し、立ち見などがしやすい横長なステージを作りました。これにより、より会場を回遊しやすい動きが作れたようで、これは概ね好評でした。


フェス感を追加する
全体のブランディングとしてフェス感が少し出たところで(?)、今度はフェス感の「追加」です。
フェスと言えばメインのコンテンツ以外にも会場内に色々なアクティビティがあるものです。もちろんスポンサーさんのブースも例年インタラクティブなものをご用意いただけて、その一端を大きく担ってくれているのですが、今年は我々側でもいくつか企画を追加しました。
DJブース
大きい方のForest Stageのすぐ横にDJブースを置き、4名のDJ(しかも全員デザイナーです)が転換時間やパーティなどで音を出してくれました。ぐっとフェスっぽくなった気がします。対話を重視したイベントなので、話しにくいなど、音量の問題などはちょいちょいあったりしたかもしれませんが、フェスの雰囲気作りにはなくてはならなくなったと思いますので、今後もDJの皆さんと引き続きいい塩梅を追求していきたいと思います。



ブックスワップ
バカンス読書の横山さん・黒田さんがブックスワップなるものをミニブース・ワークショップでやってくれました。これは参加者がいらなくなった本を持ち込んで、誰かのいらなくなった本と交換するというもの。その際、なんでいらなくなったのかはメモが添えてあって、少し味わいのある本との出会いや別れを楽しめます。2日目にはワークショップとしても行い、そこでは実際手放す人と持っていく人が顔を合わせるので、出会いはもちろんのこと、その後読んだ・読んでないで交流を続けることができる、とてもいいネットワーキング機会になったかと思います。


似顔絵コーナー
去年、ご登壇いただいたイラストレーターのHama-Houseさんが、もっと参加者と話したいということで、急遽会場横にテーブルを置いて、似顔絵コーナーを設けてくれました。これが大人気で、2日間予約制にしないとさばききれないくらいでした。そして今年も、なんとHama-Houseさんの方からまたやってくれると、願ってもないお話をいただきまして、実現しました。しかも去年の反省を活かして、より多くの人を回せるようにとそれに適した画風まで考えていただいて、また2日間、ひっきりなしに描きまくっていただきました。


プロンプトバトル
自分が関わっているデンマークのカンファレンス、Design Mattersでとある企業が余興的にやっていたものがとても面白かったので、今回試しに総合音楽担当のTakiを誘って二人で企画してみました(といっても最終的にはデンマークでみたものとほぼおなじになってしまった)。始まるまで、ホスト(司会)までもが、僕とTakiが対決するものだと思っていたみたいなのですが、これは参加者2人にステージに上ってもらって、出されたお題に対してプロンプトを打ち、画像を作ってもらうというもの。


例えば写真にある「記念撮影に飽きたハチ公」であれば、それぞれにその状況を考え、AIに頭に浮かんだものを描いてもらいます(今回はWhiskを使いました)。お題をそのまま入力するのは面白くないのでNGとして、いかに自分の世界観やオリジナリティを出すかが勝負になってきます。最終的には「どちらがより飽きているように見えるか」で投票したのですが(勝敗に特に意味はないです)、参加者もXでいくつも投稿してくれて、とても盛り上がりました。
フェス感をキープする
フェス感の「見直し」、「追加」ときたら、残りは以前からやっていたものたちです。これらはフェスをフェスたらしめるものなので、当然ながら「キープ」しました。
AMA
Spectrum Tokyo Festivalの名物とも言える、AMA(Ask-me-anything=何でも聞いてね)セッション。今年もたくさんの方がセッション終わりに集まって、対話してくれました。これ、ホストの皆さんも結構色々気を回して大変だったと思うのですが、おかげで見るたびに盛り上がってました!ホストの皆さん、ありがとうございました!


コーヒー
例年うちのイベントのコーヒー環境はコーヒー好きデザイナーのはるたんがCoffee Guyとしてプロデュースしてくれていたのですが、今年は都合がつかず。そこで新たなCoffee Guyとして高見さん、坪内さんががっつり引き継いでくれて、今年のカフェをプロデュースしてくれました。高見さんはデザイナーとしての本業の傍らMounTown Coffee Roastersという屋号でコーヒー豆の焙煎や販売をしていて、今回のためにSpectrum Blendなる豆も用意してくれました!ちなみにハンドドリップはもちろん、ポットに入ったテイクフリーのコーヒーもこちらだったので、贅沢でした…。どちらも激ウマ。はるたんが築き上げてきたうちのコーヒーの評判を更に押し上げてくれた最高のカフェでした!


カレー
フェスと言えば、カレー。お昼時の本格カレーも、もはやうちのイベントの代名詞になっていますが、今年も金沢市に店舗を構えるアシルワードさんが出張出店してくれました。毎年人気すぎてカレー用に整理券を出して、人の流れを制御しなければならないほどなのですが、今年は一日目の案内不足と、予想以上の客入りにカレーエリアが大混雑&提供フローが乱れてしまいました。このタイミングでいらっしゃった皆さんには大変ご不便・ご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。


グッズ
うちのフェスでは毎年、いくつもグッズを作って選べるようにしているのですが、今年も色々作りました。全部綺麗サッパリなくなってしまったので、どれが人気かはわからずじまいなのですが、個人的にはプレミアムチケットの方が選べるコーデュロイのキャップがかわいくてお気に入りです。そのうちゆるめにECでショップやろうかなとも思っていますので、グッズに対するご意見・ご要望あればぜひ僕にフィードバックください。w


結果:よりフェスっぽくなった
表立った仕組みはそんなところですが、概ね前よりもフェスっぽくなってきた気がしますし、参加者の皆さまも無事そのような雰囲気を受け取ってくれた気がします。これら一つ一つの仕組みが作用して、全体として話しやすい・居心地の良い場になっていればいいのですが、残念ながらそう言い切るにはまだまだやれることがたくさんある気がします。引き続き頑張ります。色々動かした分、改善点やご意見も出ているのですが、それもしっかり受け止めて来年に活かしたいと思います。

なぜそんなに「フェス」に固執するのか
最後にちょっとだけWhyの部分を書いておきたいと思います。しつこいくらい「フェス感」を追求したのはなぜか、というところですね。
Spectrum Tokyoがこのフェスという形式で表現したいのはデザインの広がりと可能性です。グラフィックやUIなどに限らず、どんな領域でも広義のデザインとも言えます。参加者には「そんなデザインとの向き合い方もあるんだ」と視野を広げてほしい。今年のオープニングでは「好奇心」こそが最高のデザインツールだと言ったのもそういうところで、3つのステージを行き来しながら色々なネタに触れてほしいんですよね。
もう一つは、デザインは楽しいものだと知ってほしい。知っていたなら思い出してほしい。このご時世、プロダクトやサービスをデザインすることは今まで以上に責任や影響範囲も増して、ややこしくなってきています。複雑性が非常に高いですし、考えることが多くなった。そんな難しい状況だからこそクリエイティビティを発揮して、ワクワクしてデザインしてほしいと思っています。
こういうことを伝えるのに、僕はやはりフェスという手段は必然だと思っています。ポジティブで楽しい雰囲気で、いろんなデザインに触れてほしい。その楽しさや得た刺激を楽しい思い出とともに覚えていてほしいです。

ちなみに、よくコンテンツのキュレーションについて聞かれるのですが、僕は基本的に「情熱」や「愛」をかなり重視しています。トピックやテーマのバラけ具合ももちろん気にしているのですが、その特定の領域に対する並々ならぬこだわり、プライド、執着や熱意が見たいなと思っています。そもそもその熱量がないと、AMAなども成り立ちません。そういったものがぶつかりあって、うちのフェスは余計にエネルギーあるイベントとなっているのだと思います。
それでは、また次の現場で会いましょう
まだ実は書きたいネタがあるのですが、長すぎるのでここで終わります。
改めまして、Spectrum Tokyo Festival 2026、お疲れ様でした。
スピーカー、スポンサー、スタッフ、そして何よりもご来場いただいた皆さま、多大なご協力とコミットメント、いつもありがとうございます。Spectrum Tokyoは今年も色々やっていきますので、またお付き合いいただけますと幸いです。
直近の大きめなイベント予定は以下です↓
- 初夏:Yoitoi Summit 2026
- 11月14−15日:Design Matters 26
また現場でお会いしましょう!
Spectrum Tokyo 三瓶でした。
最後に、Spectrum Tokyoではこのようなイベントや場作りを仕事にしているのですが、圧倒的に人が足りていません。チームをもう少し大きくしてやれることを増やしたいので、こんなふうに一緒に場作りがしたい、という方いましたらSpectrum Tokyo採用ポータルやPittaのカジュアル面談をチェックしてください!
Staff Credits
Organizer / Creative Director : Ryo Sampei
Project Management : Arisa Nojima / Shusei Toda
Tech Chief : Shusei Toda
Stage Manager : Sho Kuwabara / Yosuke Morita
Bar Owner / Venue Arrangements : Noriaki Kawanishi
Ham Cutter / Venue Arrangements : Yuta Kojima
Coffee Guys : Yusuke Takami / Hironori Tsubouchi
Handy Guys : Katsuki Inoue / Hiroki Saiki
Music Dude : Masaya Takizawa
DJs : Ryota Kanabuchi a.k.a. fazerock / BANANA-CHAN / Takao Teramura / Masaya Takizawa
DTP Assistant : Azusa Shibata
Photography : Ryonosuke Kaneko / Miho Tomita
Portraits : Hama-House
Hosts : Oli Studholme / Risako Ueda / Hirokazu Oda / Ikumi Tochio / Riho Ichiki / Maika Tsukamoto / Haruka Shimizu
Volunteer Staffs : Akira Sato / Ayaka Morinaga / Chika Asahina / Daiki Okada / Erika Tomozo / Haru Toyama / Haruna Ota / Mari Shibata / Masakazu Ikeda / Masatoshi Shibata / Nanami Imagi / Nozomi Hamanaka / Riko Takano / Ryoko Shiraishi / Shunki Tamura / Shuntaro Miwa / Sota Onozuka / Soyoko Konda / Takanori Oki / Tomoko Suzuki / Tomonori Tokazu / Waka Matsuzaki / Wakana Saegusa / Yasuka Harada / Yuichiro Tamai / Yuka Saeki / Yuka Saijo / Zou Shiyu





